飛行機で行きと帰りの時間が違うのはなぜ? 誤解を生むことも・・・ - フライトシミュレーターと飛行機の雑学館 TAKE SKY

飛行機で行きと帰りの時間が違うのはなぜ? 誤解を生むことも・・・

航空関連解説

どうも、TAKE SKYのたけです。

今回は「飛行機の行きと帰りの時間の違い」

と題して解説したいと思います。

皆さんが東京から九州の往復だったり、

東京からハワイのホノルルの往復で、

行きと帰りの時間が違うのを経験した方は多いと思います。

 

飛行機の行きと帰りの時間差の正体とは?

 

実はこれ、「風」の影響なんです。

 

えっ、ちょっと待って・・・

地球の自転とも聞いたことある・・・

という方もいらっしゃると思います。

実はこれ、誤解なんです。

 

確かに普通に考えたら、

地球の自転は意外と速く回っていまので、

自転の影響はありそうなのですが、

ここでよく考えてみてください。

 

地球の自転と共に、

私たちや飛行機すべての地上の者が

同じように回っています。

ここで「慣性の法則」が成り立っています。

という事は、地球の自転の影響は「殆ど受けない」

が正解になります。

 

では、もう一つの原因「風」ですが、

飛行機の速度までも影響する大きな風の正体は、

「偏西風」と呼ばれるものです。

分かりやすく言えばジェット気流です。

 

偏西風は、地上から10キロ、10000M上空を吹いています。

飛行機の飛行高度は平均で、35,000ft

約10,000m上空を飛行しますので、

もろに偏西風の影響を受けます。

 

偏西風のできるメカニズム

 

この偏西風ができるメカニズムはこんな感じです。

下の図をご覧ください。

地球では、南の地域と北の地域では温度差が大きく、

この温度差を小さくしようと、南の暖かい空気が

北の方へ向かっていきます。

この空気が地球の自転の影響を受けて、

やがて右寄りに曲がっていきます。

そうすることで、空気の流れは西から東へ吹く流れへと変わります。

これが「偏西風」の正体です。

 

そして下の図の様に、偏西風はこの様な流れになります。

テレビ宮崎より引用

上の図を見て考えると、

日本からアメリカに行き飛行機は追い風の影響を、

アメリカから日本に行き飛行機は向かい風を受けて飛行します。

これが行きと帰りの時間の差として現れてくるという事です。

偏西風の風速と影響

この偏西風は風速100m、時速にすると約360Km/hの突風です。

新幹線よりも時と場合によっては早いという事になります。

飛行機は概ね対気速度900Km/h前後で飛行します。

対気速度だと行きも帰りも実際の飛行速度は変わらないのですが、

対地速度(上空の速度に対して、地上から見た速度)では、

300Km/hの追い風を受けると、

対地速度は1,200Km/hにもなります。

そう考えると、行きと帰りの時間に与える影響は大きい事が分かります。

海外便を見ると飛行機のルートにも差がある

例として、日本からアメリカ大陸までの行きと帰りで見てみましょう。

下に図を示しておきます。

日本からアメリカに行く場合は、

偏西風に効率よく乗るために若干南寄りのルートを取ります。

その方が、燃費も時間も稼げますからね。

逆に、アメリカ大陸から日本に行く場合は、

偏西風の影響をなるべく受けにくくするように、

若干北寄りのルートを取ります。

※ 最短ルートも湾曲しているのは、地球が丸く、

平面で表すと、この様になります。

 

このように、風の影響を受けながら飛行する飛行機ですので、

急いでいてもイライラしないで、これを思い出して頂いたらと思います。(笑)

 

今回は「飛行機の行きと帰りの時間が違うのはなぜ?」と題して

解説させて頂きました。

 

今回もTAKE SKYをご覧頂き、ありがとうございました。

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