どうも、TAKE SKYのたけです。
今回は、太平洋の大海原上空での管制「洋上管制」について
解説したいと思います。
洋上管制とは?
皆さんが国内線や、大地の上空を飛行している時、
パイロットは航空管制官と連絡を取り合って
飛行していることはご存じかと思います。
又、管制官もレーダーを使用して
常に飛行機の位置を把握していますし、
地上無線標識局の電波を捉えて、
パイロットも位置を把握することができます。
現代はGPSも発達していて、位置情報の精度も
かなり高い物になっています。
しかし、ここで問題です。
パイロットと管制官、どちらか一方だけが
位置を把握していても、安全は保てるでしょうか?
太平洋や大西洋のど真ん中は「レーダー」が届きません。
つまり、太平洋や大西洋のど真ん中では、
管制官にはレーダーが使えなくて、
目隠しされている状態です。
危ないですよね・・・
そこで活躍するのが「洋上管制」という方法です。
洋上管制では、ポイントポイントで通過地点を知らせたり、
あるポイントの通過予定時刻を知らせる事によって、
管制官とパイロット双方が場所を把握する仕組みになっています。
日本が担当している洋上管制エリア
日本の洋上管制担当は、全て福岡航空交通管理センターが担当しています。
福岡にセンターはありますが、
コールサインは「東京レディオ」
エリアは下図の赤枠部分です。
太平洋を見てみると、日本の管制区域は意外と狭いですね***
洋上管制で使用する無線と周波数
飛行機の管制は、通常VHF帯(超短波)の周波数を使用しますが、
洋上みたいな距離が遠い場合は電波が届かない為、
HF帯(短波)の周波数を使用して通信します。
ただし、HF無線は遠くまで電波が届く代わりに、
地球上空の電離層などの環境の影響を受けやすく、
一定の周波数では通信できない場合があります。
そこで、昼間と夜間等で使用できる周波数が異なってきます。
周波数はKHz
北太平洋地区 NP | ||
NP1 | 2932 | 13273 |
5628 | 17946 | |
10048 | 21925 | |
NP2 | 2932 | 11330 |
6655 | 17946 | |
8951 | 21925 | |
NP3 | 5667 | 17946 |
8915 | 21925 |
中西部太平洋地区 CWP | ||
CWP1 | 3455 | 13300 |
6532 | 17904 | |
8903 | ||
CWP2 | 2998 | 11384 |
4666 | 13300 | |
8903 | 17904 |
洋上管制の通信例
飛行機:Tokyo(Radio), JapanAir 173 position, on 46(*1). | 東京(レディオ)、日本航空173便です。位置を連絡します。”4666KHz”で呼んでいます。 (*1) 通信官は複数の周波数を聞いているために、周波数の上二桁を言うことが多い |
管制官:JapanAir 173, go ahead! | 日本航空173便、どうぞ! |
飛行機:JapanAir 173, position TAXON at 1230, flight level 410, estimate ASEDA, at 1320, following MONPI. remaning 120, minus 35, 280 diagonal 50. Request SelCall(*2), “echo oscar alpha charlie”, Over! |
(こちらは)日本航空173便です。TAXONを12:30UTC(21:30JST)に通過しました、高度は41,000フィート。 ASEDAの通過予定は13:20UTC、その次はMONPIです。 残存燃料は12万ポンド、外気温-35度、風は280度から50ノット。 セルコールのテストをお願いします、E・O・A・Cです。 以上です、どうぞ! (*2) 短波は雑音が多くパイロットが聞き続けるのには負担が大きいので、補助的に一種のポケベル機能が付いている |
管制官:JapanAir 173, Tokyo roger. SelCall E・O・A・C. “ブーポー(*3)” | 日本航空173便、了解しました。セルコールE・O・A・Cですね、チェックします。 (*3)セルコールの呼び出し音。この音に中毒症状があり、HFにはまる一つの要因になっています |
飛行機:JapanAir 173, SelCall OK, Thank you. | 日本航空173便です、セルコールチェックは完了しました。ありがとう! |
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