飛行機のスラストリバーサー (逆噴射) の仕組みと解説 - フライトシミュレーターと飛行機の雑学館 TAKE SKY

飛行機のスラストリバーサー (逆噴射) の仕組みと解説

航空関連解説

どうも、TAKE SKYのたけです。

皆さんが飛行機に乗っていて、着陸したとたん、

「ゴォーッッッ」っという音を立てながら

減速していくのを感じていると思います。

 

あの音が「逆噴射」している最中なのですが、

中には「エンジンを逆回転させているのかなぁ?」

って思う方も居るかもしれませんが、実は違います。

 

今回は、この「飛行機の逆噴射」について、

仕組みと解説をしたいと思います。

スラストリバーサー (逆噴射) の役割

飛行機が着陸した後減速する際、

主に3つの抵抗を用いて速度を落とします。

 

一つ目は、【スポイラー】

下画像の翼から跳ね上がった板状のもの

 

二つ目は、今回解説する【スラストリバーサー】

 

三つ目は、ギア(車輪)自体のブレーキ

 

飛行機は大きく、重量もあります。

しかも高速で降りてきます。

ギア(車輪)だけのブレーキでは、

相当な滑走距離になってしまいますし、

万が一、滑走路が雨で濡れていたり凍結していると、

スリップ等の重大事故にもつながります。

 

そこで、飛行機が滑走路に接地したら、

スポイラーの空気抵抗と

スラストリバース(逆噴射)の抵抗で速度を落とし、

低速になってから、ギア(車輪)のブレーキを主に使います。

 

スラストリバーサー (逆噴射) の種類

● カスケード方式 又は コールドストリーム方式

現在の旅客機では、一番多く採用されている方式です。

高バイパス比のエンジンで採用されており、

ボーイングB737  B767  B777がこのタイプです。

 

通常の状態のエンジン

スラストリバーサー (逆噴射) を作動させた状態

エンジンカウル半分が後ろに動いて、

カスケードと呼ばれる部分が見えているのがわかる

 

逆噴射時の空気の流れ

 

扉タイプのスラストリバーサー エアバスA320

 

このカスケード方式のメリットは、

エンジンの燃焼ガスは逆噴射されない為、

アルミニウム合金などで軽量に作ることができる。

 

デメリットとしては、内部機構が複雑で

比較的コストがかかる。

 

● クラムシェル方式 又は バケット方式

現在の旅客機ではあまり見かけなくなってきた方式です。

低バイパス比のエンジンで採用されています。

以前はJALにも見かけたMD-80がそうでした。

 

通常状態のエンジン

スラストリバーサー (逆噴射) を作動させた状態

エンジン後部の「バケット」と呼ばれる部分が

後部に噴射するガスをせき止めているのがわかる

 

逆噴射時の空気の流れ

 

バケット方式のメリットは、構造が単純な事と、

比較的コストが掛からないことがあげられる。

 

デメリットとしては、燃焼ガスを全てせき止め、

前方に反射させて空気の向きを変えることから、

高温にさらされることとなり、

それに耐えられる材料で制作しなければならず、

比較的重量が重くなる。

 

 

スラストリバーサー (逆噴射) の構造

 

ここまでの解説で、

スラストリバーサーはエンジンを逆回転させているのではなく、

後部に噴出している気流をせき止めて、

前方に出していることがお分かりかと思います。

 

しかし、バケット方式は分かるとして、

カスケード方式はどこで気流をせき止めているのでしょうか?

この事について解説していきます。

 

下の画像はエンジン内部を後ろから覗いた画像です。

前方の大きなファンから取り込んだ空気は、

ここを通って後ろに噴射されています。

スラストリバーサーを作動させて状態

ブロックが閉じているのがわかります。

横から見ると、この様なイメージです。

リバーサーが作動した状態のほぼ全体の

エンジン後部

この様にして、カウルの内部で空気をせき止めて

前方に噴射しています。

 

プロペラ機の逆噴射のしくみ

では、プロペラ機ではどの様にしてリバースを掛けているのでしょうか?

プロペラ機もターボプロップ機などの比較的大きな機種には、

リバーサーが搭載されています。

 

簡単に率直に解説すると、

プロペラの「角度を変えている」という事です。

この様な機構を「可変ピッチプロペラ」といいます。

 

可変ピッチのプロペラ

wikipediaより引用

 

この可変ピッチプロペラは、

プロペラの角度を変えることにより、

効率的な推力設定にできるほか、

リバース段階では、プロペラの角度を変えることで、

後方に流していた気流を、前方に変換します。

 

以上でスラストリバーサー (逆噴射) のしくみと解説を

終了させていただきます。

 

疑問に思ったことなどがあれば、

コメントより受け付けております。

 

今回もTAKE SKYをご覧頂き、ありがとうございました。

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